
橋本唯隆(教育ジャーナリスト) 今、日本は新型コロナ禍という未曽有の危機に直面している。こうした危機においては、すでに報じられているように、自粛や感染対策を巡って非難するなど「道徳感の欠如」といえるような行為が相次いでいる。そこで本稿では、道徳や道徳教育の本質について考察したい。 記憶に新しい方も多いと思うが、2019年10月に発覚した神戸市立小学校における「教師間いじめ事件」は、道徳観の欠如を象徴するような出来事であった。まさに道徳教育をする側がいじめに加担した悪しき例である。 この事件で重要なのは、周囲の同僚教師や上司も発覚以前から知っていたことだ。こうした状況の中で、加害教師は...